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11/22 社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告書(案)

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社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会報告書(案)

基本的考え方

 社会的養護を必要とする子どもの数の増加、虐待等子どもの抱える背景の多様化等が指摘される中、社会的養護体制はこのような状況に適切に対応することが強く求められている。
 このため、現在の社会的養護の課題を整理し、今後目指すべき社会的養護体制のあり方とそれを実現するための具体的方策を検討するため、本年2月に厚生労働省雇用均等・児童家庭局 家庭福祉課に「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」が設置され、5月 に中間とりまとめがなされた。
 また、本年6月には、「児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」(平成19年法律第73号)の附則において、「政府は、児童虐待を受けた児童の社会的養護に関し、里親及び児童養護施設等の量的拡充に係る方策、児童養護施設等における虐待の防止を含む児童養護施設等の運営の質的向上に係る方策、児童養護施設等に入所した児童に対する教育及び自立の支援の更なる充実に係る方策その他必要な事項について速やかに検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」とされ、社会的養護体制について見直しを進めることが求められている。
 このような状況の下、児童の社会的養護体制の拡充に向けた具体的な方策を検討するため、本年8月に社会保障審読会児童部会に本専門委員会が設置された。
 本専門委員会は、「今後目指すべき児童の社会的養護体制に関する構想検討会」中間とりまとめにも述べられた里親委託の推進等家庭的養護の拡充、子どもの状態に応じた専門的なケアの充実等施設機能の見直し関係機関の適切な連携による家庭支援機能の強化、自立支援策の強化、社会的養護を担う人材の確保と質の向上、施設内虐待等子どもの権利擁護の拡充及び社会的養護の資源の提供体制の計画的な整備の推進といった課題について、その基本的方向を踏まえながら、さらに具体的施策の検討を進め、その内容を以下にとりまとめた。
 施設や里親、行政機関などにおいて社会的養護に携わっている方々は、戦後の孤児対策の時代から、社会的養護を必要とする子どもに対し適切な養護を提供するため、日々、子どもや地域の状況に応じて、また、その時代の樽性に応じて様々な取組を進めてこられた。その努力とそれを通じた社会への貢献に対し、本専門委員会として改めて敬意と感謝を表する。
 しかしながら、我が国の社会的養護は、現在、上記のような社会的養護を必要とする子どもの数の増加、虐待等子どもの抱える背景の多様化等の中で大きな転換期を準えており、現行の社会的養護体制では、その状況に十分に対応できるだけの質・量を備えているとは言い難いと言わざるを得ず、その拡充は緊急の課題であると言える。
 また、我が国の家族政策関連支出の規模は、GDP比0.75%(2003年)であり、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン等では概ねGDP比の2~3%が投入されていることと比して低く、未来を担う子どもたちの健やかな育成を支援する次世代育成という観点から、社会的養護体制の拡充についても、より多くの社会的資源を投入することが求められている。
 本専門委員会においては、上記のような認識の下、その体制整備のため、早急に対応を行うことが可能となるよう、できるだけ具体的な対応策について提案することとした。
 なお、社会的養護体制については、この報告書を踏まえた対応を進めることに加え、今後とも少子化対策全体の財源に関する議論の動向も踏まえながら、必要な見直しを進めるべきである。また、社会的養護に関するケアのあり方や子どもの置かれた状況についての中長期的な調査・研究の手法等についても検討を進めるべきである。

社会的養護体制の拡充のための具体的施策

1.子どもの状態に応じた支援体制の見直し

 家庭的な環境における養護を一層推進するほか、子どもの年齢やその状態に応じた自立支援・生活支援や、心理的なケア等を行う観点から、以下のような項目について施策を推進する必要がある。

 (1)家庭的養護の拡充

 家庭的な環境の下、愛着関係を形成し、地域の中でその個別性を確保しながら養育を行い、子どもが社会へ巣立っていくことができるよう支援することが求められているが、現行の社会的養護体制においては、最も家庭的な環境の下で養育を行っている里親への委託が増加していない。また、施設においても個別的なケアや一定の安定した人間関係の下での養育を基本とすべきであるが、ケア単位が大規模であること等から十分なケア体制が整備できていない等の問題点がある。
 このような問題を解決するため、以下に記載するように、里親委託を促進するとともに、家庭的な環境の下で養育を行う新たな形態として、小規模グループ形態の住居において子どもを養育する新たな仕組みを創設する必要がある。

① 里親制度の拡充
 里親委託を促進し、里親を支援するための体制を拡充する観点から、以下のような制度の充実・整隋を進める。また、併せて、様々な手法によるPR等により里親制度の普及啓発活動を国民運動として展開するべきである。

  • 「養育里親」と「養子縁組里親」を区別し、養育里親の社会的養護体制における位置付けを明確化する。
  • 養育里親となる者の要件について、都道府県が行う研修を修めた者とするほか、欠格事由や取消要件の明確化を図る等里親認定登録制度を見直す。
  • 養育里親による養育を社会的に評価する額へと里親手当を引き上げる。
  • 養育里親の研修、養育里親に関する普及啓発活動、子どもを受託した後の相談等の業務を都道府県の役割として明確化するとともに、子どもに最も適合する里親を選定するための調整等も含め当該業務の委託先として里親支援機関を創設する。里親支援機関については、乳児院や児童養護施設、児童家庭支援センター、NPO、都道府県里親会等地域で里親に対する支援を行うことができる機関を幅広く活用する。
  • 専門里親についても、委託可能な児童の範囲に障害児を含める等の拡大や研修システムの充実を図る。
  • 施設に措置されている子どもを週末や長期休暇等に養育里親等の家庭に短期間、定期的に預かるいわゆる「週末里親」や「季節里親」の仕組みを拡充する。

 なお、里親委託を推進するに当たっては、上記里親支援機関や児童家庭支援センター、施設などの地域の資源を十分に活用するほか、特に実親との交流の時期や方法等実親との関わりについては、児童相談所が里親と十分に連携を図りつつ、適切に対応することが重要である。

②小規模グループ形態の住居による新たな養育制度の創設
 小規模グループ形態の住居における養育に関する以下の指摘を踏まえ、小規模グループ形態の住居において、家庭的な養育環境の下、適切な支援の質の担保を図りつつ、一定人数の子どもを養育する事業の制度化を図る。

  •  現在、いくつかの地方自治体において里親が5~6人の子どもを受託して行っているいわゆる「里親ファミリーホーム」については、里親だけでは養育や家事等の手が十分ではないとの指摘がある。
  •  また、こうした多人数を委託される里親は委託された子ども同士の相互作用を活かしつつ養育を行うことができることから、里親との1対1の関係を作ることが困難である子どもの場合でも、家庭的養護が可能となるとの指摘もある。

 なお、制度化を図るに当たっては、当該事業を社会福祉事業とし、里親、施設と並ぶ子どもの養育の委託先として、当該事業を位置付ける。
 また、適切な養育の質を確保するため、同事業を実施する者について、子どもの養育に関する一定の経験を有する等の要件を課すこと、必要な人員配置として、概ね6人程度子どもが委託されることを想定し、里親に加えて家事等の援助を行う人員を確保することや地域での連携体制の確保等を定めるほか、他の施設や里親等と同様に、5・に記載するような権利擁護の仕組みを導入する。
 さらに、当該事業の創設に当たっては、円滑に新たな事業を実施できるよう、現在既に子どもを受託している「里親ファミリーホーム」等に配慮した経過措置を設けることが重要である。

③施設におけるケア単位の小規模化等家庭的養護の推進
 施設においても、可能な限り家庭的な環革において一定の安定した人間関係の下での個別的なケアを実現するため、(2)においても言及するようにケア単位の小規模化をさらに推進する必要がある。その際、必要なケアモデルや方法論についても検討を進める。

(2)施設機能の見直し

 子どもが抱える背景が多様化・複雑化する中、心理的ケアや治療を必要とする子どもに対する専門的なケアや自立支援に向けた取組、継続的・安定的な環境での支援の確保、ケア単位の小規模化とそこにおける家庭的な養護を推進する必要がある。その際、後述の実態調査・分析の結果を踏まえ、子どもが必要とする心理的ケア等と組み合わせながら、個別的なケアや継続的・安定的な環境の下でのケアを受けることができるよう、子どもの状態や年齢に応じたケアが提供できるような体制とするべきである。
 このため、施設種別にかかわらず子どもの状態や年齢に応じた適切なケアを実施できるよう、乳児院、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設及び児童自立支援施設に分類された現行の施設類型のあり方の見直しを検討するべきである。また、母子生活支援施設についても、母子の関係性に着目しつつ生活の場面において母子双方に支援を行うことができるという特性を活かしつつ、ケアの改善に向けた検討を行う必要がある。
 これらの検討に当たっては、子どもにとって必要なケアの質を確保するための人員配置基準の引き上げや措置費の算定基準の見直し等を含めたケアの改善に向けた方策を検討するものとする。
 ただし、このような見直しを具体的に進めるためには、必要な財源の確保が不可欠であるとともに、現在施設内で行われているケアの現状を詳細に調査・分析し、その結果を十分に踏まえて、ケアのあり方とこれに必要な人員配置や措置費の算定のあり方について検討する必要がある。
 したがって、厚生労働省が来年度にかけて行うことを予定している「施設ケアに関する実態調査」の結果を中心にその他の調査研究の状況もあわせて踏まえながら、本専門委員会において、その具体化に向けた検討をさらに進めていくこととする。
 なお、当該調査の実施に当たっては、対象となる施設、関係団体や研究者等の全面的な協力が不可欠である。施設ケアの質的な向上につながる重要な調査であることにかんがみ、施設におけるケアの現状が十分明らかになるよう、本専門委員会としても各関係者の協力を強く期待する。
 また、施設類型の見直しに当たっては、障害者自立支援法附則第3条の規定に基づく見直しが障害児施設について行われることを踏まえ、その動向に十分留意しながら検討を進める必要がある。
 上記のような検討を進めるとともに、施設における専門機能の強化や自立支援策の強化を図るため、以下のような対応を進める。

  • 基幹的職員(スーパーバイザー)の配置等により、自立支援計画の見直しとその進行管理を適切に行うとともに、関係機関との連携を図りつつ、児童指導員・保育士と心理療法を担当する職員等の専門スタッフによるチームケアを行うことができる体制を整備する。
  •  心理的ケアや治療を必要とする子ども及びその保護者に対し、特に医療機関等との連携を強化するため、それぞれの施設における専門スタッフの強化等体制整備を図る。
  •  施設入所中から、施設退所後までを見据えた自立支援に資するケアを計画的に実施する必要があるほか、ケア単位の小規模化については、子どもの自立支援の観点からも有効な手段であることを念頭においた検討を行う。
  • 地域の中における施設の役割の充実を図り、入所中や退所後の家庭や子どもに対する施設からの支援を強化する。また、里親に対する支援を強化するため、養育里親の研修、子どもを委託する養育里親へのレスバイト・相談等の支援等を担う里親支援機関について、乳児院、児童養護施設が自ら受託することや、同機関との連携を図ることを、積極的に検討する。

 なお、児童自立支援施設における学校教育の実施については、既に平成9年の児童福祉法の改正により、児童自立支援施設に入所する子どもにも学校教育を実施することを義務づけられたところであるが、未だ多くの自治体で実現されていない。このため、各自治体の福祉部局から教育委員会に積極的に働きかけるほか、国においても厚生労働省と文部科学省で連携を図り、児童自立支援施設に入所する子どもが学校教育を受けられる体制を早急に整えるべきである。また、その際には、入所する子どもの学力や状態に十分配慮した内容とすることが必要である。

2.社会的養護に関する関係機関等の役割分担と機能強化及び地域ネットワークの確立

 子どもに対する適切かつ継続的なケアを行うためには、施設や里親、児童相談所、その他の関係機関の連携を図ることが必要であるほか、親子分離まで至らないケースや家庭復帰後の支援など、地域において家庭を支援することのできる体制を整備することが求められる。
 しかしながら、現段階ではこのような体制は十分ではないと考えられる。
 このため、関係機関の適切な役割分担と連携強化を図るとともに、地域において家庭支援を行う体制を強化するため、以下の施策を推進する必要がある。

(1)児童相談所のアセスメント機能等の強化

 一時保護(委託して行う場合を含む。)を含めた児童相談所におけるアセスメント機能の充実強化、里親・施設に措置された後の継続的なアセスメントとこれに基づくケアを提供することを目的として以下の事項についてその標準化を図るため、指針を作成するほか、すでに開発されたアセスメント方法等をより有効なものへ改訂し、その普及を図る必要がある。
 また、継続的なアセスメントとこれに基づくケアの提供に当たっては、児童福祉司や児童心理司の質の向上等も含め児童相談所の体制を強化するとともに、児童相談所や施設、里親等の関係機関が十分に協力し、適切な役割分担をしつつ進めることが求められる。

  • 一時保護(委託して行う場合を含む。)の際のアセスメントのあり方
  • 措置する際の施設・里親に対する情報提供のあり方
  • 施設や里親への入所・委託中の援助方針の策定、自立支援計画の作成とそれらの見直しの時期やその手法及びその際の施設等との役割分担
  • 措置解除を検討する際の保護者や地域の支援体制に関する適切な評価方法及び施設等との役割分担

 また、一時保護(委託して行う場合を含む。)については、生活環境の改善や適切なケアを行うことができる体制について検討するとともに、5.に記載する権利擁護の仕組みを導入するべきである。

(2)家庭支援機能の強化

 在宅で生活を続ける場合や親子分離を行った場合における家庭復帰後の子どもの健やかな育ちを支援するためには、保護者指導を含め地域における家庭支援が重要であり、その推進を図るため、以下のような施策を講じる必要がある。また、地域における家庭支援の実施に際しては、それぞれの地域の実情を踏まえた取組を促進することが求められる。

  •  児童福祉司等の人員の確保やその質の向上など児童相談所自体の体制を充実する。これに加え、児童相談所が市町村や関係機関と役割分担を図りつつ、保諺酎旨導を行う体制として、児童家庭支援センターを積極的に活用するとともに、NPO等他の一定の要件を満たす機関に対しても保護者指導の委託を可能とする措置を講じる。
  •  児童相談所との役割分担・連携を担い、家庭支援を行う拠点を増加させるため、施設に附置される場合だけではなく、一定の要件を満たす医療機関やNPO等、地域で相談支援等を行っている機関が児童家庭支援センターになることを可能とすることも有益である。
  •  地域において治療的なケアを提供することができる機関の通所機能の活用や、親子双方に支援を行うプログラムを実施している機関による支援の活用等地域における様々な資源を活用しながら、家庭支援を行うことが重要である。
  •  母子生活支援施設については、その特性を活かし、母親と子どもの関係性に着目した支援プログラムの研究を進める等の機能強化を図るほか、入所する子どもの状態に応じて児童相談所への適切な連絡を行う等入所時や入所中の福祉事務所と児童相談所・婦人相談所との連携を強化する。
  • 地域における家庭を支援するためには、住民に身近な市町村の体制整備を図る必要があることから、子育てに関する情報提供や育児に関する必要な助言等を行うための生後4か月までの全戸訪問事業や育児支援家庭訪問事業等の子育て支援事業を幅広く推進し、虐待等の予防にも資する取組を進める。
  • 要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)について、調整機関に一定の専門性を有する者を配置する等の機能強化を進め、併せて都道府県においても市町村職員に対する研修等の支援を行うなど、市町村の体制強化を図るための措置を講じることが重要である。

3.自立援助ホームの見直し等自立支援策の拡充

 社会的養護の下で育った子どもは、施設等を退所し自立するに当たって、保護者等から支援を受けられない場合も多く、その結果様々な困難に突き当たることが多い。このような子どもたちが他の子どもたちと公平なスタートを切れるように自立への支援を進めるとともに、自立した後も引き続き子どもを受け止め、支えとなるような支援の充実を図るため、以下のような事業の見直し等を進める必要がある。
 なお、ここでは年長児の自立支援策を中心に記述しているが、自立支援については、在宅支援の段階及び措置されている間から、退所後の社会的自立までを見据えて、関係機関がそれぞれ連携し、継続的なケアを行い得る体制の構築が求められるものである。
 また、年長児の自立支援策と青少年施策との連携を進めるほか、現行制度における満20歳に達するまで措置を継続する仕組みについて、子どもの状況を踏まえつつ、より積極的な活用を図るべきである。

  • 児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)については、児童養護施設における高校進学率が9割となる等により、子どもが自立する年齢が上がってきている現状を踏まえ、施設退所者等のうち、高校卒業後の者であってもー定期間自立に向けた支援を行うことが可能となるよう、満20歳未満の者まで対象を広げることを検討する。
     また、年長児の自立支援は社会的養護に軍ける最も重要な課題の一つであるため、子どもの主体性を尊重する観点からも子どもが都道府県に対し申込みを行う仕組みとするほか、児童自立生活援助事業の提供(委託)を都道府県に義務づけることも検討する。さらに、 現在の補助金による財政的支援ではなく、国や県による財政的負担により、より確実な財政支援を行うことができる方策を検討する。
  • 施設を退所した子ども等の自立生活や就労を継続するための支援を行うため、生活や就労に関する相談や自助グループによる相互の意見交換等を行う拠点事業を創設し、自立援助ホームや児童家庭支援センター、NPO等の様々な地域資源を当該拠点として活用することにより、それぞれの地域の事情に応じた積極的な取組を進める。

4.人材確保のための仕組みの拡充

 社会的養護の質を確保するため、以下のような施策を推進することにより、その担い手となる職員及びその専門性を確保するとともに、計画的に育成するための体制を整備する必要がある。なお、社会的養護に関する資格のあり方については、今後、保育士の専門性や質の向上等のあり方を検討する際に併せて検討する必要がある。

 (1)施設長・施設職員の要件の明確化

 施設長・施設職員の任用要件を明確化・適正化するべきである。

 (2)基幹的職員(スーパーバイザー)の配置、養成のあり方

 施設において組織だったケアを行い得るようにするとともに、人材育成が可能となるよう、自立支援計画等の作成・進行管理、,職員の指導等を行う基幹的職員の配置を義務づける必要がある。基幹的職員については、施設における一定の経験を有する者等のうち、一定の研修を受け専門性を習得した者とするべきである。

 (3)国及び都道府県の研修体制の拡充

 都道府県において作成する整備計画に必要な人材を確保するための方策を記載し、これに基づき施設等機関相互間の人材交流ができるシステムや研修体制を整備することを含め、計画的に人材育成を進めることが重要である。
 国において作成する指針(都道府県計画の作成のための指針)にも人材育成に関する事項を盛り込むほか、国は、人材育成のためのカリキュラムの作成や都道府県で人材育成を担う指導者に対する研修を実施する必要がある。この際、カリキュラムについては、5.にあるような子どもの権利擁護の観点に十分配慮したものとする。

5.措置された子どもの権利擁護の強化とケアの質の確保のための方策

 社会的養護の下にいる子どもたちは、措置によりその生活が決定されること等を踏まえ、また、近年起こっている施設内虐待等に対応するため、下記のような施策を講じることにより、子どもの権利擁護の強化、ケアの質の確保を図る必要がある。

 (1)措置された子どもの権利擁護を図るための体制整備

 客観性・専門性を有し、子どもの措置に関する一定の権限を有する機関である都道府県児童福祉審議会の調査審議事項として、措置された子どもの権利擁護に関する事項を明確化するべきである。
 具体的には、措置された子どもが都道府県児童福祉審議会に意見を述べることができること、同審議会が調査のため必要に応じて子どもも含め関係者に対し資料の提出及び説明を求めることができることとするほか、同審議会が都道府県に対し、子どもの権利擁護に関し講じるべき措置について意見を述べることができること等の仕組みを整備する。
 この際、都道府県児童福祉審議会が都道府県に対し述べた意見や、子どもから述べられた意見について、都道府県において適切に対応できるような体制を整備するべきである。また、子どもが意見を述べやすい仕組みとするとともに、安心して子どもが意見を述べることができるよう、意見を述べた後も子どもの権利が守られるような仕組みとすることが求められる。
 さらに、都道府県児童福祉審議会の運用については、子どもの権利擁護に関する専門の部会を設置する等、各地域において、より同審議会がその役割を効果的に果たすことができるような工夫を行う必要がある。
 このほか、苦情解決の仕組みとして、施設における第3者委員の設置の推進や社会福祉法に基づき都道府県社会福祉協議会に設置された運営適正化委員会の活用等を図る必要がある。
 さらに、自立支援計画の作成や見直しの際に子どもの意見を聞くほか、子どもが自分の置かれた状況を可能な限り理解できるように説明をする等、子どもの意向を踏まえた支援となるよう、さらに運用面での改善を進めるべきである。併せて、子どもが自分の意向を表現しやすくするという観点から子どもの置かれた状況や子どもの権利などを記したいわゆる「子どもの権利ノート」等を活用し、施設入所時や施設入所中に子どもが自らの権利について理解するための学習を進めることが重要である。

 (2)監査体制の強化等ケアの質の向上のための取組の拡充

 都道府県において、第3者を加えた監査チームを編成する等により、ケアの質について監査できる体制を整備するとともに、国においても、監査マニュアルの見直し、標準化を進めるべきである。
 また、養育に関する都道府県、施設、里親の責任の明確化を図る必要がある。
 このほか、各施設における自己点検・自己評価やその結果の公表等の仕組みの導入について検討するほか、第3者評価の受審について引き続き推進することが重要である。

 (3)施設内虐待等に対する対応

 被措置児童に対する児童養護施設等職員や里親による虐待等に対応するため、児童養護施設等職員、施設長、一時保護所の職員、小規模住居における養育事業を行う者及び里親が行う暴行、わいせつな行為、ネグレクト及び心理的外傷を与える行為等を施設内虐待等と位置づけ、以下のような対策を講じる必要がある。
 また、子ども同士の上記のような行為についても、これを施設職員等が放置した場合は、虐待(ネグレクト)として位置づけるべきである。

  •  施設内虐待等を受けた子どもが、都道府県及び(1)に記載した都道府県児童福祉審議会に対して届け出ることができるようにすること
  •  施設内虐待等を発見した場合に職員等に都道府県への通告義務を課すこと及び第3者に通告に関する義務を課すこと並びに(1)に記載した都道府県児童福祉審議会に対し通告できるようにすること
  •  都道府県及び都道府県児童福祉審議会に対し碍出をした子ども及び通告した職員等に関する秘密の保持義務を課すこと
  •  通告した職員等に対する施設による不利益取扱いを禁止すること
  •  届出、通告があった施設等に対する立入調査、質問、勧告、指導、業務停止等の処分及び子どもの保護等都道府県が講じるべき措置を明確化すること
  •  国が施設内虐待等に関する検証・調査研究を実施すること及び都道府県が施設内虐待等の状況等について公表すること

 さらに、都道府県は、施設内虐待等を受けた子どもについて、一時保護などの必要な対応を速やかに行うとともに、当該児童養護施設等に入所する他の子どもについての適切なケアを確保するべきである。
 また、都道府県は、施設の運営改善に向け、第3者を含めた対策チームを設置して施設内虐待等が再び起こることがないよう助言、指導を継続して行う等の対応をする必要がある。その際、運営改善の取組が着実に進むよう当該施設やその法人はもとより、都道府県、児童相談所、関係団体のそれぞれが、その求められる役割を確実に果たすべきである。
 また、具体的な対応方法について、その全国的な共有化を図るため、国において各都道府県における施設内虐待等の事例や具体的な取組等を収集・分析し、その結果を踏まえて、各都道府県における対応方法や予防策に関するガイドラインを作成する必要がある。

6.社会的養護体制の計画的な整備

 要保護児童に対し適切な支援を行い得るような社会的養護の提供量及びその質を確保するという観点から、以下のような仕組みを整備する必要がある。

  • 里親や小規模住居における養育事業、施設、自立援助ホーム、児童家庭支援センター、一時保護所等の供給体制や質の確保策、人材確保・人材育成のための方策及び児童の権利擁護のために講じる措置等について計画的な整備とその質の向上が図られるよう、都道府県において社会的養護体制の整備やその質の向上のための計画を作成し、これを公表する。
     また、この計画においては単に既存の事業を機械的に羅列するだけではなく、地域の実情に応じ、真にその地域において必要な支援のあり方を検討し、それに応じた新たな取組や工夫等も盛り込んで、その地域の特性を活かしたものとするべきである。
     さらに、虐待予防に資する事業や子育て支援事業等、市町村が実施する事業との関連性も十分に考慮し、市町村と連携を図りつつ作成することが重要である。
  • 国においては、都道府県が計画を策定するに当たって、地方自治体間の格差の解消を図るため、計画的な整備や質の向上を図るための基棉十を作成する必要がある。その際、都道府県計画に盛り込まれるべき具体的な社会的養護の必要提供量の算定方法に関する考え方を示すことが有用である。

 上記に加え、関係団体や施設においても、人材育成等ケアの質の向上を図るための計画を立て、これを実施することが求められる。

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